小型犬を飼うなら、長生きする犬種を望む人も多いのではないでしょうか。平均寿命は犬種によって異なります。
語弊を恐れずに言うとテキトーな飼い方をしてしまうとその分別れが早くきてしまう可能性が高くなってしまうことも。
この記事では、小型犬の年齢ごとの特徴とケア方法を解説します。
愛犬を大切に育てたい方は最後までご覧ください。
小型犬の年齢に関する基礎知識
小型犬の年齢に関する基礎知識を人間の寿命と関連付けて解説します。
小型犬の平均寿命
2021年度の犬全体の平均寿命は14.2歳です。犬種によって平均寿命に差がありますが、小型犬は平均よりも寿命が長い傾向があります。
平均寿命が最長の犬種はトイプードルで15.3歳です。
平均寿命は、遺伝的な要素や日々の生活環境など、さまざまな要因で変動します。
» アニコム家庭動物白書(外部サイト)
最近では技術の進歩や食事管理の向上などにより、寿命が延びる傾向が見られています。愛犬がどれだけ元気に長く生きられるかは遺伝的な要因もありますが、飼い主の育て方によっても愛犬の将来は大きく変わってくるでしょう。
愛犬が出すサインを見逃さないように、日ごろから注意深く観察しましょう。
人間の年齢に換算する方法
小型犬の場合は、2歳までの成長スピードが非常に速く、2歳で人間の24歳に相当します。2歳以降は1年経過するごとに4歳ずつ年齢を加算すると、人間に換算してちょうど良い計算結果になります。
小型犬は大型犬に比べて長生きする傾向にあり、犬種によって期待寿命が異なるため、犬種の特性を理解しておきましょう。
ちなみに小型犬より大型犬の方が寿命が短くなるのは以下のようなことがあるためです。
- 老化に伴う体の機能低下が速いため
- 大型犬の方が成長スピードが速い分、老化を促進してしまう活性酸素が増えるため
体が大きければ長生きするというわけではないんですね。
小型犬の年齢別のケアと食事の工夫
小型犬のケアの方法について以下の年齢別に解説します。
- 子犬期(0〜1歳)
- 成犬期(1〜7歳)
- シニア期(7歳以上)
子犬期(0〜1歳)
小型犬にとって子犬期は重要な時期です。子犬期での適切なケアが将来の健康に大きく影響します。子犬期は、生活に慣れさせる訓練を始める絶好のチャンスです。
子犬の頃から基本的なしつけはやっておきましょう。
基本的なしつけ
- 「待て」「おすわり」などのコマンド
- 散歩の仕方
- トイレトレーニング
- 噛み癖の矯正
- 吠え癖の矯正
最初は時間がかかるかもしれませんが、根気強く続ければ覚えてくれます。
経験上、しつけで大事なことは飼い主も一緒になって楽しむことです。上手くいかないと「どうすればいいんだろう」と真剣になってきてだんだん表情や声が暗い感じになってきます。でもその暗い気持ちは愛犬に確実に伝わるんですよね。それで愛犬も楽しくなくなって余計にしつけの成果が悪くなってしまうことも。
「なにやってんの!笑」「ちがうよー!笑」といった感じで失敗してもその過程も楽しむのがめちゃくちゃオススメです。
また、骨格形成を促進するために適切な運動量を確保することも必要です。
運動のほとんどは日頃の散歩になりますが、子犬の場合は落ち着きがなく急に走り出すこともあるので、交通量の多い道はできるだけ避けておくのが無難かと思います。
生後半年くらいで乳歯が生え揃い、成犬の歯へ生え変わり始めるので、歯の状態もチェックしてあげるようにします。食事管理としては、総合栄養食という表示があるドライフードが良いでしょう。
成犬期(1〜7歳)
成犬期は健康維持が重要なので、年に1回は健康診断を受けるのが望ましいです。
我が家では爪切りをしてもらいに行くたびに体のチェックをしてもらっています。
また、実際に我が家の愛犬の成犬期ケアとしてやった代表的なことは以下の通り。
- ドッグフード選び
- 太らせないための運動
- デンタルケア
- 部屋の環境をもっと良くした
全部基本的なことですが、基本的なことをいかに継続できるかで老犬の生活にも響いています。
ドッグフード選び
子犬期と同様にドッグフードは総合栄養食を選んでおけば、とんでもなくヘンテコなものを引き当ててしまうことはないかと思います。
先ほど紹介した「おさかな」は国産の中ではトップクラスの品質だと本気で思っているくらいオススメのドッグフードです。
ただ問題なのが、飼い主が知らないうちに(よくわからずに)粗悪なドッグフードを選んでしまって、その粗悪なドッグフードを愛犬に与えてしまっているパターンです。実際に「原材料とか成分とかよくわかんないけどとりあえず値段の高いドッグフードを選んでおけば大丈夫かな」と思っている人は結構多いんじゃないかと思います。
でもそれが知らないうちに愛犬に粗悪なドッグフードを与えてしまう典型例。
成犬期という長い期間の中でずっと粗悪なドッグフードを与えてしまっていたらと思うとゾッとしますよね。
個人的な趣味で「犬の管理栄養士」という資格を持っているのですが、世に出回っているドッグフードって結構ヘンテコなもの多いですよ。
原材料や成分のバランスが良くなかったり、中身がほぼ同じで外側のパッケージだけを変えたようなものだったり(いわゆるOEM)など色々です。
OEMとは
OEMをものすごくザックリ言うと、製造会社(メーカー)が他の会社の商品を代わりに作ってあげることです。
例えば化粧品って数え切れないほどたくさんありますが、「パッケージとか会社名は違うのに中身が同じ(もしくはほとんど同じ)じゃん!」みたいな商品を見かけたことはありませんか?それがOEMです。
そしてこのOEMの仕組みがドッグフードでもあるということですね。
もちろん、「中身が同じでもその中身さえ良かったら良いんじゃないの?」と言われればその通りなんですが、ドッグフードのOEMは大抵良いとは言えないものばかりなのが正直なところ。
粗繊維が1%を切っていたり(多ければ良いというものでもない)、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが悪かったりこれも色々。
灰分(ミネラルのこと)も多ければ良いというわけではありませんが、2%しかないものもあったりと、ドッグフード選びは知識がないと正しく選べたものじゃないなと思っています。
そうした中で個人的にオススメのドッグフードが先ほどから紹介している「おさかな」と「モグワン」です。
この2つは原材料と成分のバランスがめちゃくちゃ良いんですよね。
もし今与えているドッグフードに不安がある場合は、
をご覧ください。
単なるレビュー記事だけでなく、ドッグフードの原材料や成分などをチェックする重要性もセットで理解できると思います。
太らせないための運動
人間と同じように犬も太ってしまうと体への負担が大きくなってしまいます。
散歩は毎日を基本として、たまにはドッグランに連れて行ってあげるなど、楽しんで運動させてあげるのがオススメです。
もし散歩中に歩いてくれない場合は以下の対策をしてみましょう。
散歩中に歩かない対処法
- 散歩コースを変えた(交通量の多い場所で散歩しない)
- 一定の場所まで歩いたらフードを1粒あげる
- 散歩の時間を変えた
- 散歩直前に少しだけ水分を与える
- 天気の悪い日は無理して散歩をしない
上の対処法は全て実践した内容ですが、1番効果があったのは散歩コースを変えたことでした。
車やバイクなど、交通量の多い道は鼻のきく犬にとっては排気ガスの匂いで気分が悪くなっている可能性もあるので要注意。
運動の他にも太らせない対策として、
- おやつを減らす
- おやつの代わりにドッグフードを与える
- 定期的な体重測定
などがあります。
実際に我が家の愛犬を太らせてしまったことがあり、愛犬にも迷惑をかけたし、飼い主自身も大変な経験をしたことがあります。(今は標準体型まで戻ってきました)
成犬になって太った状態に慣れたまま老犬になると体調にも影響しやすいので太らせないように気をつけてくださいね。
デンタルケア
歯の健康を守るためにデンタルケアも定期的に行いましょう。
デンタルケアの例
- 歯ブラシで歯を磨いてあげる
- デンタルガムを与える
- ご飯に混ぜるタイプ、舐めるだけタイプのデンタルアイテムを使う
我が家では上の3つを全て試しましたが、やっぱり1番効果があるのは「歯ブラシで歯を磨いてあげる」ことです。
デンタルガムは以前は与えていましたが、万が一のどに詰まらせないかという不安があるのであげないようになりました。(ガムを飼い主がしっかり持って与えてあげればまだ安全かなとは思います)
ご飯に混ぜるタイプや舐めるだけタイプはお手軽ではありますが、その分効果としては正直微妙かなあといった感じ。
「じゃあデンタルケアは歯ブラシ一択だね」となるのですが、問題は愛犬が歯を磨かせてくれないことです。
歯ブラシは、最初はまあ〜嫌がる嫌がる笑
慣れるまで結構な時間がかかりました。でも愛犬も慣れてきたのか、はたまた観念したのか今では歯磨きしてもそこまで嫌がることはなくなっています。
ただ、その子によってはどうしても嫌がって逃げ回ることもあるかと思いますので、そういった場合は残りの2つの、デンタルガムや、ご飯に混ぜたり、舐めるだけのケアで良いかと思います。
諦めて何もしないよりは良いですね。
部屋の環境をもっと良くした
成犬期は子犬や老犬よりも、基本的にはケガなどはしにくい時期ですが、それでも部屋の環境はどんどん良くしていきましょう。
「これで飼育環境は完璧!」と思ってもしばらくしてふと「あれ?ここ危なくない?」という箇所が出てくるなんてよくある話です。
- 部屋の温度と湿度
- 静かな環境
- 段差のない環境
- 定期的に掃除された部屋
- 愛犬がくつろげるスペースを複数作る
など、愛犬にとってちょっとでも快適な環境を作ってあげましょう。
最近我が家では机の角が危ないなと思ったので角にクッションを取り付けました。
超アナログです。
シニア期(7歳以上)
シニア期の小型犬は、体の変化が多く見られる時期です。
基本的には成犬期と気を付けるポイントは同じですが、今まで以上に生活環境に気を置く必要があります。
シニア期で気を付けること
- できるだけ良いドッグフードを与える
- 床の段差を極力なくす
- 足への負担が少ないマットを敷く
- コードなど足を引っ掛けそうなものは置かない
- 部屋の温湿度調整
- 散歩で無理をさせない
人間と同じように犬も歳を取ると、新陳代謝や筋肉量がなくなって体が弱くなっていきます。
切なすぎる。
今までは平気だったちょっとした段差でケガをすることもでてきやすいので、今まで以上に飼育環境に気を配りましょう。
成犬の時から老犬になってからの変化をよくみてあげて、散歩の距離も今までより短めにしたり、ご飯の量や種類を変えてみるなどの調整をしてください。
小型犬の行動や性格の変化と対応
小型犬の行動や性格の変化について、以下の3つに分けて解説します。
- 年齢を重ねるにつれて見られる変化
- 高齢化に伴う行動の特徴
- 変化に対応するための環境づくり
年齢を重ねるにつれて見られる変化
小型犬も人間と同じように、年齢を重ねるとさまざまな変化が現れます。主な変化は以下のとおりです。
歳を取ると出てくる変化
- 体力が少なくなって活発さがなくなり、落ち着いた性格になる
- 落ち着いた性格になる分、運動量が減り、太りやすくなる
- 足の調子が悪くなることが増える
- 動きが鈍くなったり、階段の登り降りが苦手になる
- 視力や聴力が衰えて以前よりも遠くのものが見えにくくなったり、命令や呼びかけに反応しにくくなる
- 被毛の質感が変わって、抜け毛が増えたり、被毛が細くなる
- 食べ物を噛む力が弱まる
上記の変化は、愛犬の健康や生活の質に大きな影響があります。
「なんか前と違うな」「ちょっと動き重くなったかな」など愛犬をよく観察して不安なら早めに体調をチェックしてあげましょう。
シニア期においても体重管理は重要です。
肥満や痩せすぎに注意しながら食事管理を徹底しましょう。ご飯を食べづらそうにしていたらふやかすなどの対策を取るのもオススメです。
安全面を重視して愛犬が楽しく快適に過ごせる環境づくりをすることが大切です。
高齢化に伴う行動の特徴
高齢化に伴い、小型犬の行動にも特徴的な変化が現れます。主な行動の変化は以下のとおりです。
- 活動量が減る
- 睡眠時間が増える
- 不安や恐怖を感じやすくなる
- ストレスへの耐性が低下する
- 食欲が増加・減少する
- 判断力や記憶力が低下する
- 変化への適応が難しい
体調が原因で行動に変化が起こる場合もあります。ストレス耐性の低下により不安や恐怖を感じやすくなることもよく見られる現象です。食欲に変動があることもあり、体調に影響を及ぼすことも。
ネガティブな要素は増えてくるけど、歳をとっても可愛いことには変わりない(親バカ)
変化に対応するための環境づくり
変化に対応するための環境づくりには、安全と快適さを確保することが重要です。関節が弱くなってくるので、滑り止めマットを敷けば安全性が向上します。柔らかいクッションやベッドを用意すれば、リラックスできるため快適さも向上できます。
食事に関しては、位置を低くすれば飲食をしやすい環境を整えることが可能です。静かで刺激の少ない環境を作ることでストレスも軽減できます。環境づくりで飼い主ができることは多いので、1つ1つ実践して愛犬が幸せな生活を送れるようにしましょう。
小型犬のシニア期の迎え方と準備
小型犬のシニア期の迎え方と準備について、終末期までの3つに分けて解説します。
- シニア期の心の変化と飼い主の接し方
- 高齢化に伴う生活の工夫と補助グッズ
- 終末期のケアと飼い主の心構え
シニア期の心の変化と飼い主の接し方
シニア期を迎えると、小型犬には心の変化が見られます。不安感が増して、甘えがちになるため、愛情をもって接しましょう。身体能力の低下によって、戸惑いやストレスを感じやすくなるため、優しく声をかけて安心を与えることが大切です。
年を取ると体調が悪かったり痛みによって性格の変化が起こる場合もあるので、異変には敏感に対応しましょう。自己解決できない異常を感じたら、早めに専門家に診てもらいましょう。年齢に適した生活をサポートして、シニア犬との豊かな生活を送りましょう。
高齢化に伴う生活の工夫と補助グッズ
高齢になると、成犬期では容易だった活動が難しくなります。人間の高齢者と似ており、日常生活の質を保つためにさまざまなサポートが必要です。補助グッズを上手に取り入れてシニア犬の生活をより快適に保ちましょう。必要になる補助グッズは以下のとおりです。
- 歩行をサポートするハーネス
- 床滑り防止のフロアマット
- 関節に優しい低反発マット
- 段差をなくすスロープ
上記4つをメインに、愛犬が快適に過ごせる環境を作ることが大切です。視力や聴力の低下によって、やり取りが難しくなる場合もあるため、愛犬の動向にも注意しましょう。適切に補助グッズを活用できれば、小型犬の生活の質を向上させるだけではなく、飼い主の負担も軽減できます。
終末期のケアと飼い主の心構え
終末期は、ペットと飼い主にとって非常に重要な時期です。ペットの快適性を最優先にしたケアが求められます。限界があることを理解して、緩和ケアの選択も視野に入れましょう。ペットの苦痛を最小限に抑え、最期の時間を穏やかに過ごせるようにサポートします。
飼い主自身も精神的な準備を整え、家族間での意見交換を通じて、サポート体制を築くことが大切です。終末期のケアはペットにとっても飼い主にとっても、心穏やかな最後の時を過ごすための大切なプロセスと言えます。
まとめ
小型犬を健やかに長生きさせるためには、飼い主の適切なケアが欠かせません。小型犬は人間とは異なるペースで急成長するため、年齢に適した対応が求められます。小型犬の健康と長寿には、品種に応じた特性を理解した配慮が必要です。
年齢に応じた変化を受け入れて、愛犬が快適で幸せな生活を送れるように支えましょう。終末期はペットの快適性を最優先にすることが大切です。最期の瞬間まで、愛情をもって接してあげてください。
» 【初心者必見】ポメラニアンの飼い方!